チタンコーティングやチタンゲッターポンプなどに使用する蒸発金属(チタン)を保持する手段として、従来は、タングステンなどの高融点の金属線に巻きつけたコイルタイプ、蒸発用金属ボートに収容した容器タイプ、さらに高融点金属板に溶融金属板を積重ねたターゲットタイプが使われてきました。コイルタイプは、蒸発金属が溶融により垂れ落ちたり、蒸発効率が低い問題があり、また容器タイプやターゲットタイプは、コストが高く、また熱効率が低くなります。

当社は、原子力開発機構と共同でこれらの問題を解決し、大型設備のコーティングにも適用可能な、安価なチタン蒸発ワイヤーを開発しました。チタン以外にも金、銀、銅、ニッケル、アルミニウムなどにも適用可能で、お客様の用途に合わせて最適設計します。

蒸発線の芯線には、タングステン線またはその撚り線が使用され、真空装置内で通電することにより加熱され、蒸発用金属が溶融し、蒸発します。この溶融・蒸発状態を制御するためにモリブデン線を一定間隔に配置し、溶融金属線の垂れを防止します。さらに外側に巻かれたタングステンのガード線も溶融状態の蒸発線の流動を防止し、垂れを防ぎます。このような構造にする事で、蒸発効率が80%程度を確保することができます。通電は、芯線だけではなく、蒸発線全体に通電され、効率的に加熱することができます。

蒸発線の用途は、通常のコーティングに使われる以外にも、反応性蒸着用の蒸発源(例えばアセチレンガス中での炭化チタンコーティング)や、高真空を得るためのサブリメーションポンプ(チタンゲッターポンプ)にも活用することができます。当社では、用途、サイズに合わせて設計をお手伝いします。さらに蒸発線の純度のご希望にも可能な限り対応します。1985年日本原子力研究所(現在の国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構)JT-60その場コーティング用途に採用以来、チタン蒸着、サブリメーションポンプ用途として販売しています。

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